佐久間製菓とサクマ製菓の違いとは?廃業の真相と赤缶緑缶の見分け方
「子どもの頃に親しんだ缶入りドロップが食べたいけれど、赤缶と緑缶のどちらが残っているのかわからない」「佐久間製菓が廃業したと聞いて驚いたが、サクマのいちごみるくは今も売っているのはなぜ?」といった疑問を持つ方は少なくありません。かつて日本の駄菓子・キャンディ文化を牽引してきた「サクマのドロップ」ですが、実は漢字の佐久間製菓とカタカナのサクマ製菓は、まったく資本関係のない別会社です。
2023年1月に「サクマ式ドロップス」で知られる佐久間製菓が114年の歴史に幕を閉じた際、ネット上では「いちごみるくも無くなるのか」と大きな誤解と混乱が広がりました。本稿では、戦前の創業から戦後の分裂・商標裁判に至る歴史的背景、赤缶と緑缶の味や中身の決定的な違い、そして2026年現在における両社の製品の流通状況まで、客観的な記録と取材データをもとに徹底解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:赤缶の「サクマ式ドロップス」を製造していた佐久間製菓(豊島区)は2023年1月に廃業したが、緑缶や「いちごみるく」のサクマ製菓(目黒区)は現在も事業を継続中。
- 要点2:戦前の同名企業が戦争で解散後、創業者側と元幹部側で別々に再建されたため分裂し、裁判を経て「漢字表記(サクマ式)」と「カナ表記(サクマ)」で共存してきた。
- 要点3:緑缶のサクマドロップスは全国のスーパーや100円ショップで手軽に入手可能だが、廃盤となった赤缶はオークション等でプレミアム価格がついている。
【決定版】佐久間製菓とサクマ製菓は全く別の会社!基本概要と資本関係を整理
街のスーパーやお菓子売り場で日常的に見かけるドロップ缶ですが、多くの消費者が「同じ会社がデザイン違いで出している姉妹品」だと長年思い込んでいました。しかし、両社は資本関係も役員の人的交流も一切存在しない完全な競合他社です。
まず押さえておきたいのが、2社の基本的な企業プロフィールと2026年時点のステータスです。
- 佐久間製菓株式会社(漢字表記):東京都豊島区池袋に本社を置いていた老舗。スタジオジブリ映画『火垂るの墓』に登場した「赤色の缶(サクマ式ドロップス)」の製造元。2022年11月に廃業を発表し、2023年1月20日をもって正式に廃業しました。
- サクマ製菓株式会社(カタカナ表記):東京都目黒区中央町に本社を構える現役の菓子メーカー。「緑色の缶(サクマドロップス)」や、1970年発売のロングセラー「いちごみるく」「チョコみるく」などの製造元。現在も精力的に新商品開発や販売を継続しています。
このように、法人のルーツは同じ一本の樹木でありながら、戦後にお互い独立した別会社として枝分かれし、まったく異なる経営方針で歩んできた経緯があります。

【歴史と分裂の真相】なぜ同じ名前の会社が2つ生まれたのか?戦後復興と商標裁判の全貌
なぜ日本を代表するキャンディブランドに、紛らわしい「2つのサクマ」が存在することになったのでしょうか。その背景には、明治から昭和の激動期における戦争の爪痕と、商標を巡る法廷闘争の歴史が刻まれています。
発端は1908年(明治41年)に遡ります。創業者の佐久間惣次郎氏が、イギリスからの輸入品に負けない国産ドロップの完成を目指し「佐久間製菓株式合資会社」を設立しました。試行錯誤の末、独自の製法で夏でも溶けにくい透明感あるドロップの開発に成功し、これが元祖「サクマ式ドロップス」として大ヒットを記録します。
しかし、太平洋戦争の激化に伴い日本の製菓産業は壊滅的な打撃を受けました。砂糖の配給統制や原材料の調達不能、さらには東京大空襲による工場の焼失などにより、1944年(昭和19年)頃に会社は一旦解散へと追い込まれます。
終戦後、焼け野原からの復興期に2つのグループが別々に「サクマのドロップ」の再建に乗り出したことが分裂の直接的な引き金となりました。
- 創業者一族の復興ルート:創業者・佐久間惣次郎氏の三男である佐久間芳吉氏らが中心となり、旧社屋のあった豊島区池袋で再興したのが「佐久間製菓(赤缶)」。
- 元経営陣・幹部の復興ルート:戦前の佐久間製菓で支配人や営業幹部を務めていた横倉信夫氏らが中心となり、目黒区で立ち上げたのが「サクマ製菓(緑缶)」。
双方が「正統な後継者」を自負してドロップの製造・販売を再開したため、当然ながら「サクマ式ドロップス」という偉大なブランドネームの所有権を巡って激しい対立が勃発しました。この争いは裁判所へ持ち込まれ、泥沼の法廷闘争へと発展します。
昭和20年代後半から30年代にかけて行われた裁判所の調停・判決により、以下のような司法判断が下され、双方が合意に至りました。
- 商標「サクマ式ドロップス」の継承権:創業者一族側の佐久間製菓に認められる。社名表記は漢字の「佐久間製菓」とする。
- 商標「サクマドロップス」の使用権:元幹部側のサクマ製菓に認められる。ただし「式」の文字は使えず、社名はカタカナの「サクマ製菓」とする。
この歴史的和解によって、日本の市場には「漢字の佐久間製菓=サクマ式ドロップス」と「カタカナのサクマ製菓=サクマドロップス」という2つの独立したメーカーが並行して存在し続けることになったのです。
サクマ式(赤缶)とサクマ(緑缶)の違いを徹底比較|味・配合・デザインの一覧
消費者が最も気になるのは、「赤缶」と「緑缶」の中身や味にどのような差があったのかという点です。缶のベースカラーだけでなく、封入されているフレーバーの構成や原材料の配合にも明確な違いが存在していました。
| 比較項目 | サクマ式ドロップス(佐久間製菓) | サクマドロップス(サクマ製菓) | 編集部の見解・ポイント |
|---|---|---|---|
| 缶のメインカラー | 赤色(レトロ調デザイン) | 緑色(鮮やかなポップ調) | 赤缶は戦前の意匠を色濃く残し、緑缶は時代に合わせてリニューアル。 |
| 味のラインナップ(全8種) | イチゴ、レモン、オレンジ、パイン、リンゴ、ハッカ、スモモ、チョコ | イチゴ、レモン、オレンジ、パイン、リンゴ、ハッカ、スモモ、メロン | 最大の違いは「チョコ味」か「メロン味」か。茶色い粒が出たら赤缶。 |
| 文化・メディア露出 | 映画『火垂るの墓』に登場する節子のドロップ缶 | 『鬼滅の刃』など現代人気IPとのコラボレーション缶 | ジブリファンに親しまれたノスタルジーの象徴がサクマ式(赤缶)。 |
| 2026年現在の生産状況 | 製造終了(会社廃業のため) | 通常生産・全国販売中 | 店頭で定価購入できるのはサクマ製菓(緑缶)のみ。 |
味の構成における決定的な違いは「チョコ味の有無」でした。佐久間製菓のサクマ式ドロップスには、ココアパウダーを練り込んだ茶色の「チョコ味」が入っており、これがフルーツ味の中で異彩を放つアクセントとして熱烈なファンを生んでいました。一方、サクマ製菓のサクマドロップスにはチョコ味の代わりに爽やかな香りの「メロン味」が採用されています。

佐久間製菓の廃業理由はなぜ?「サクマ製菓が倒産」という誤解とSNSの混乱を検証
2022年11月、東京商工リサーチなどの報道によって「サクマ式ドロップスの佐久間製菓が2023年1月に廃業する」というニュースが一斉に駆け巡りました。この時、日本国内のSNSや情報番組では激しい情報錯綜が生じました。
なぜ佐久間製菓は114年の歴史に幕を下ろしたのか
帝国データバンクや東京商工リサーチの公開情報によると、佐久間製菓の廃業(清算)には複数の複合的要因がありました。
- 安価な競合商品との激しい価格競争:グミやソフトキャンディ、機能性タブレットなど新興スイーツの台頭により、昔ながらのハードキャンディ市場全体が縮小傾向にあったこと。
- 原材料費・エネルギーコストの急騰:近年の砂糖や水飴といった主原料の高騰に加え、包装資材であるブリキ缶の仕入れ価格、製造ラインを動かす燃料代が大幅に上昇したこと。
- 新型コロナウイルス禍による需要激減:観光地のお土産需要や冠婚葬祭向けの需要が蒸発し、2021年9月期には約1億5,000万円の最終赤字を計上していたこと。
- 生産設備の老朽化と後継者問題:八王子工場の設備更新に必要な設備投資資金の回収が見込めず、事業継続を断念したこと。
負債を抱えて破産する「倒産」ではなく、手元資金が残っている段階で自主的に会社を畳む「自主廃業(清算)」という決断でした。
SNSで発生した「サクマ製菓への風評被害」と異例の公式声明
この廃業報道の直後、Twitter(現X)などのSNSでは「サクマ製菓が倒産した」「もういちごみるくが食べられなくなる」という誤った情報がトレンド入りする事態となりました。社名が酷似していることによる典型的な誤認です。
事態を重く見たサクマ製菓(目黒区)は、自社公式サイトや公式SNSを通じて「廃業を発表された佐久間製菓様と弊社は別の会社です。弊社商品は今後も変わらず製造・販売を継続いたします」という異例のコメントを発表。これにより、多くのファンが胸を撫で下ろすとともに、初めて「サクマが2社あった事実」を知ることになりました。
【2026年最新】現在どこで買える?サクマドロップスの販売店とサクマ式の高騰事情
現在、ドロップを購入したい場合、どこへ行けば手に入るのでしょうか。2社それぞれのリアルな流通事情をまとめました。
サクマ製菓の製品(緑缶・いちごみるく)の購入場所
サクマ製菓(緑缶)の製品は、2026年現在も全国の流通網で極めて安定して供給されています。主に以下の店舗で購入可能です。
- 100円ショップ:ダイソー、セリア、キャンドゥなどのお菓子コーナー(缶入りだけでなく、便利な袋入りパウチタイプも定番)。
- スーパーマーケット:イオン、西友、ライフ、イトーヨーカドーなどのキャンディ売り場。
- ドラッグストア:マツモトキヨシ、ウエルシア、スギ薬局など。
- 公式オンラインショップ・ECモール:Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングなどでケース買いやまとめ買いが可能。
廃盤となった佐久間製菓「サクマ式ドロップス(赤缶)」の現状
一方、佐久間製菓の「サクマ式ドロップス(赤缶)」は、2023年1月の工場稼働停止に伴い、正規ルートでの出荷が完全に終了しています。
メルカリやヤフオクなどの二次流通市場では、未開封の赤缶や『火垂るの墓』復刻コラボ缶が定価(約150円〜200円)の数倍から十数倍となる1,500円〜3,000円前後のプレミアム価格で取引される事例が見られます。しかし、製造から年数が経過しているため、賞味期限切れによる品質劣化や内部のドロップが湿気で溶け固まっているリスクが高く、食用としての購入には十分な注意が必要です。

【実態検証】利用者の生の声と現場目線で見えたブランドへの愛着
昭和・平成・令和の3時代を駆け抜けた2つのドロップブランドに対し、一般の消費者はどのような思いを抱いているのでしょうか。SNSやネットコミュニティに寄せられた生の声から、現場のリアルな実態を検証します。
佐久間製菓の廃業時、ネット上には単なるノスタルジーを超えた深い喪失感の声が溢れました。
「熱を出して寝込んだとき、祖母が枕元に置いてくれたのがあの赤いサクマ式ドロップスだった。ハッカが出るとハズレだと騒ぎ、チョコが出ると嬉しかった思い出が蘇る」(40代・会社員)
「『火垂るの墓』を観るたびに、水を入れてシャカシャカ振って飲んだ節子の真似をした。日本の昭和の歴史そのものがひとつ消えてしまったようで本当に寂しい」(50代・主婦)
一方で、営業を続けるサクマ製菓に対しては、伝統の味を守り続けてほしいという強い応援の声が寄せられています。
「いちごみるくのサクサク噛める食感が大好き。サクマ製菓さんが今も元気に新しい味を出してくれているのは本当にありがたい」(20代・学生)
「緑の缶を見かけると必ず買ってしまう。子どもの頃は赤缶と緑缶の違いなんて気にしてなかったけれど、今となっては緑缶の存在がとても貴重に感じる」(30代・公務員)
【プロの結論】老舗の分裂劇から学ぶブランド戦略と企業存続の教訓
経済・ビジネスの観点から両社の明暗を分析すると、日本の老舗企業が激変する現代市場を生き残るための極めて重要な示唆が得られます。
単一依存からの脱却と「多角化戦略」の成否
佐久間製菓とサクマ製菓の命運を分けた最大の要因は、「看板商品への依存度」と「ポートフォリオの多角化」にありました。
佐久間製菓は「サクマ式ドロップス」という強大かつ完成された歴史的ブランドを持っていたがゆえに、主力製品のレトロな価値観を大切にし続けました。しかしその結果、駄菓子離れや原材料高騰の直撃を受けた際、収益を支える第二・第三の柱を十分に育てきることができませんでした。
対照的にサクマ製菓は、緑缶のサクマドロップスを守りつつも、1970年に開発した独自製法の「いちごみるく」というメガヒット商品を生み出すことに成功しました。噛むとサクサク崩れるクランチキャンディという新ジャンルを確立し、さらに「チョコみるく」「抹茶みるく」、季節限定のコラボフレーバーなど、若い世代やファミリー層へ向けた積極的な商品展開を継続しました。このヒット商品の多角化が、経営の強固なディフェンスラインとなったのです。
おすすめできる人・購入時の判断基準
現在の市場状況を踏まえた、消費者の賢い選び方・向き合い方は以下の通りです。
- サクマ製菓(緑缶・いちごみるく)が向いている人: 日常のおやつとして美味しいキャンディを楽しみたい方、手軽に100円ショップやスーパーで購入したい方、サクサク食感のキャンディが好きな方。
- 佐久間製菓(赤缶)のプレミアム商品に慎重になるべき人: オークション等で高額転売されている赤缶は、賞味期限が切れている可能性が極めて高く、ドロップ本来の風味は損なわれています。「歴史的コレクションやインテリアとして缶を保存したい」という明確な目的がない限り、プレミアム価格での無理な購入はおすすめできません。
【佐久間製菓とサクマ製菓の違い】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:佐久間製菓の「サクマ式ドロップス」が今後、再販や復刻される可能性はありますか?
A1:佐久間製菓株式会社自体は清算・廃業しているため、同社から直接再販されることはありません。ただし、所有されていた商標権や製造技術が他社に譲渡・ライセンス契約されれば、将来的に別メーカーから「復刻版」として企画販売される可能性はゼロではありません。現時点(2026年)では公式な復刻の動きは発表されていません。
Q2:映画『火垂るの墓』に出てきたドロップはどちらですか?
A2:劇中で節子が持っていたのは、佐久間製菓の「サクマ式ドロップス(赤缶)」です。スタジオジブリの公式ライセンス商品として発売されていたレトロ調の記念缶も、佐久間製菓が製造を担当していました。
Q3:なぜ缶入りドロップには必ず「ハッカ味」が入っているのですか?
A3:ドロップは湿気に弱く、夏場などに粒同士が糖分でくっついてしまう性質があります。ハッカ(メントール成分)を含む粒を混ぜることで清涼感を出すだけでなく、味のバリエーションとして甘味を引き締めるアクセントの役割を果たしていました。子どもの頃は苦手でも、大人になると好きになる定番の味として親しまれています。
Q4:サクマ製菓の「いちごみるく」は佐久間製菓の廃業と何か関係がありますか?
A4:一切関係ありません。「いちごみるく」はサクマ製菓株式会社(目黒区)の完全オリジナル商品であり、現在も主力製品として通常通り全国で製造・販売されています。
まとめ:伝統の味を受け継ぐサクマの歴史を正しく理解しよう
「佐久間製菓」と「サクマ製菓」の違いは、単なるパッケージの色や文字の違いにとどまらず、明治の創業から戦災、そして戦後の復興期を駆け抜けた2つの企業の生き様そのものを映し出しています。
惜しまれつつ歴史の幕を下ろした佐久間製菓の「赤缶(サクマ式ドロップス)」が残した文化的功績は色褪せることはありません。そして現在も、サクマ製菓の「緑缶(サクマドロップス)」や「いちごみるく」が、その伝統の遺伝子をしっかりと現代の食卓へ届けてくれています。店頭で見かけた際は、ぜひその深い歴史に思いを馳せながら、一粒の甘いドロップを味わってみてはいかがでしょうか。 (出典: 佐久間製菓とサクマ製菓の違い(Yahoo!ニュース))