B'z松本孝弘の歴代ギターと極上トーンの秘密|最新機材と愛機を徹底解剖
日本を代表するロックバンド・B'zのギタリストであり、グラミー賞受賞をはじめ世界的名声を誇る松本孝弘(Tak Matsumoto)。彼の紡ぎ出す伸びやかで太く、艶やかなギタートーンは、40年近くにわたり日本のロックシーンの頂点に君臨し続けています。アジア人として初めてギブソンからシグネチャー・アーティストに認定された彼の足跡は、日本のエレクトリックギターカルチャーそのものの進化史と言っても過言ではありません。
「なぜ松本のギターは一音鳴らしただけで彼だと分かるのか」「歴代のシグネチャーモデルや最新のツアー機材はどう変化しているのか」。本稿では、松本孝弘のギター経歴から歴代の主要愛機、伝説の1955年製ゴールドトップやキャナリーイエロー、門外不出のFAT製アンプ・エフェクターシステム、そして唯一無二のプレイスタイルまでを多角的に徹底検証します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:1999年に日本人初のギブソン・レスポール・シグネチャーモデル(キャナリーイエロー)を冠して以来、Tak Matsumoto DCやファイヤーバードなど革新的ギターを次々と共同開発。
- 要点2:極上の「Takトーン」は、FAT(Flight Access Technology)のフルカスタム機材と、ピッキングニュアンス・独特のヴィブラートという身体的技術の融合によって成立。
- 要点3:最新ライブでもヴィンテージ(1955年製レスポール等)と最新シグネチャーを適材適所で使い分け、アナログと最新デジタルを高度に同期させたシステムを構築。
【歴代使用ギター一覧】初期から現在に至る松本孝弘のギター経歴
松本孝弘のギター遍歴は、時代ごとのサウンドコンセプトと機材テクノロジーの進化がダイレクトに反映されています。アマチュア〜スタジオミュージシャン時代、B'z初期のデジタルロック期、ハードロックへの原点回帰、そして世界基準のトーン探求期に至るまで、その変遷は極めて論理的です。
キャリア初期のスタジオセッションやB'z初期(1988〜1993年頃)において象徴的だったのは、YAMAHA MG-Mシリーズでした。トレモロユニットを搭載したネオンカラーやグラフィック塗装のモデルは、当時の煌びやかなデジタルサウンドや高速カッティング、アーミングを多用する楽曲群にベストマッチしていました。当時の特番インタビューや自著・手記で語られた「当時はとにかくタイトで抜ける音、打ち込みに負けないアタック感を求めていた」という生の告白通り、楽曲のスケール拡大とともにギター本体の鳴りそのものを重視する方向へとシフトしていきます。
1990年代半ばから本格的にギブソン・レスポールへの回帰が始まりました。1994年のツアー「The 9th Blues」前後から1950年代製ヴィンテージ・レスポールの重厚なトーンに傾倒。そして1999年、ギブソン社からその卓越したプレイと功績を認められ、ジミー・ペイジやスラッシュに続く世界で5人目、アジア人としては初となるギブソン・シグネチャー・アーティストに就任しました。

ギブソン製シグネチャーモデル徹底比較|歴代主要機種のスペックと価値
ギブソンが松本孝弘のために製作したシグネチャーモデルは、単なる既存モデルのカラーバリエーションにとどまらず、ボディシェイプの新規設計にまで踏み込んだ点に最大の特徴があります。
| モデル名 | 登場時期・主要スペック | トーン傾向・サウンド特徴 | 市場価値・希少性評価 |
|---|---|---|---|
| Les Paul Canary Yellow | 1999年発表。鮮烈なキャナリーイエロー、アバロンインレイ | 中高域の抜けが鋭く、アグレッシブなドライブサウンド | 初代シグネチャー。中古市場では高値安定(100万〜180万円台) |
| Tak Matsumoto DC (Double Cutaway) | 2004年〜。左右対称ダブルカッタウェイ、キルト/フレイムメイプル | ハイポジションの演奏性抜群。豊かなサステインと粘り | ギブソン初の左右対称DC。シグネチャーの代表格として絶大な人気 |
| Tak Matsumoto Firebird | 2014年〜。通常より小型化されたリバースボディ、ハムバッカー | レスポールよりタイトでキレがあり、モダンなローミッド | 限定生産のため流通量が少なく、コレクターズアイテム化 |
| 1955 Les Paul Goldtop "First 5" | 2020年代〜。本人の実機1955年製(#5-9937)を完全再現 | P-90ピックアップ特有の図太い芯と枯れた倍音成分 | Custom Shop最高峰Historic Collection。極めて高いプレミア価格 |
特にTak Matsumoto DCは、レスポールの伝統的な音響特性を維持したまま、ハイフレットへのアクセスを劇的に向上させた画期的なモデルです。ギブソンの歴史上、アーティストの要望によって完全に新規のボディシェイプが開発・製品化された例は極めて稀であり、ギブソン開発陣と松本の強固な信頼関係を裏付けています。
なぜあの「松本トーン」が出るのか?サウンドメイクの秘密とアンプ・エフェクター機材
松本孝弘のサウンドを語る上で欠かせないのが、プライベートチームであるFAT(Flight Access Technology)の存在です。彼の現場で使用される機材の多くは、市販品をそのまま使うのではなく、ツアーやレコーディングの過酷な環境に耐えうるよう徹底的にカスタマイズされています。
シグナルチェーンの根幹を担うアンプの変遷を見ると、初期のRockman(ロックマン)による超高密度なディストーションから、Bogner(ボグナー)EcstasyやFishプリアンプへの移行、そして自身のシグネチャーアンプヘッド(BognerとのコラボレーションやFATオリジナルアンプ)へと進化を遂げました。これらチューブアンプのドライブサウンドは、耳に痛い高音域が綺麗にロールオフされ、中音域(ミッドレンジ)が極めて濃厚に押し出されるセッティングになっています。
また、エフェクター群においては、FAT製のカスタムワウペダル(FAT 514.Dや412.W等)、独自のバッファー回路、固定ワウ効果を生むフィクスドワウが要所で使用されます。「ultra soul」や「イチブトゼンブ」のソロで聴ける、ピッキングと同時にジュワッと倍音が絡みつくトーンは、こうした徹底的なインピーダンス管理と歪みのチューニングから生まれています。

【実態検証】ギターソロの特徴とプレイヤーが直面する「再現の壁」
ギターキッズやプロのスタジオミュージシャンが松本サウンドの完全コピーを試みる際、必ず突き当たるのが「機材を揃えても同じニュアンスが出ない」という壁です。SNSや専門誌の検証企画でも長年議論されているこの現象には、松本特有のフィジカルな演奏技術が関係しています。
松本のギターソロの特徴は、以下の要素に集約されます。
- 徹底したペンタトニックの歌わせ方:ブルーススケールやマイナーペンタトニックを基調としながら、演歌や歌謡曲にも通じる日本的な哀愁(メロディアスさ)を同居させるフレージング。
- 強烈で正確無比なピッキングアタック:ピックを深めに当て、弦の芯を鳴らしきるピッキング。これにより、アンプがクランチ気味であっても強烈な音圧とサステインが生み出されます。
- 幅広く均一なチョーキング・ヴィブラート:音程の揺らぎが寸分の狂いもなくコントロールされており、ロングトーンにおいてギターが人間の声のように歌う現象を作り出します。
関係者の証言によると、松本本人はリハーサル中、アンプのツマミ以上に「右手と左手の力加減」によって音色を劇的に変化させているといいます。機材の優秀さはもちろんのこと、最終的な音色の決定打は彼の身体的コントロール技術にあることが分かります。
一般に知られていない盲点とネットの誤解|トーン神話の真相
インターネット上のコミュニティや機材フォーラムでは、松本孝弘のトーンに関して一部の偏った言説が見受けられます。ここでは客観的事実に基づき、代表的な誤解を是正します。
誤解①:「超高ゲイン(深い歪み)で作られている」という幻想
CD音源やライブの爆音で聴くと強烈に歪んでいるように感じられますが、実際のゲイン量は驚くほど低めに設定されています。アンプ単体ではオーバードライブ〜クランチ程度であり、ピッキングの強弱によってクリーンからヘヴィドライブまでをコントロールしています。ゲインを上げすぎないからこそ、コードの分離感と芯のある太いアタックが失われません。
誤解②:「ヴィンテージギター至上主義である」という誤解
松本は1959年製レスポール(通称バースト)や1950年代製ゴールドトップなど、数千万円クラスのヴィンテージを多数所有・使用しています。しかし、彼はヴィンテージのオリジナル状態に固執せず、ライブでの実用性を重視してフレットの打ち替え(ジャンボフレット化)や電装系のリワイヤリング、パーツ換装を躊躇なく行います。「骨董品としてではなく、現役の道具として鳴らす」というプラグマティックな姿勢が一貫しています。
【プロの結論】松本サウンドの追求に向いている人・慎重になるべき人の判断基準
松本孝弘のトーンやシグネチャーモデルの導入を検討しているプレイヤーに向け、客観的な適性基準を提示します。
- おすすめできる人:
- アンサンブルの中で埋もれない、太く抜けるリードトーンを最優先したいギタリスト。
- ピッキングニュアンスやボリュームコントロールによる音色変化を一から鍛え直したいプレイヤー。
- メロディラインを感情豊かに聴かせるインストゥルメンタルやハードロックを志向する人。
- 慎重になるべき人(向かない人):
- ギター側のトーンやピッキングの粗さをエフェクターの深い歪みやディレイでごまかしたい人(ミッドレンジが強いため、ミスピックが目立ちやすい)。
- 軽量なギター(3kg前後)を好む人(レスポールやDC系は木材の密度が高く、一定の重量があるため)。
- モダンな超多弦(7弦・8弦)やDJENT系パーカッシブサウンドを主軸とする人。

【2026年最新】近年のライブ&レコーディング使用機材の進化
松本孝弘の機材システムは、伝統的なチューブサウンドの核を守りつつも、最新のテクノロジーを柔軟に取り入れてアップデートされています。近年のB'zツアーやTMG(Tak Matsumoto Group)の再始動プロジェクトにおける最新ライブ使用機材の動向は、世界中のギアフリークから熱狂的な注目を集めました。
ステージ上では、本人所有の伝説的実機をプロファイリングしたデジタルプロセッサーシステムと、FAT製の特注アナログチューブパワーアンプ、そしてアイソレーション・キャビネットに収められたBognerキャビネットが緊密に連携。巨大スタジアムからアリーナクラスまで、いかなる音響環境でもミリ秒単位の位相ズレや音痩せを起こさない強固なシステムが完成しています。
メインギターには、近年の代名詞となっている1955年製ゴールドトップおよびそのリイシューモデルと、最新スペックが投入されたプロトタイプのシグネチャーモデルを併用。P-90シングルコイルが持つ野太いバイト感と、ハムバッカーの濃密なサステインを楽曲の世界観に合わせてシームレスに切り替える構成が定着しています。
【b'z 松本孝弘 ギター】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:初心者が松本孝弘のトーンに近づくための現実的な機材構成は?
A1:高価なギブソン製カスタムショップやFATアンプを揃える必要はありません。エピフォン製のTak Matsumotoシグネチャーやレスポールタイプをベースに、中音域が豊かなオーバードライブ(BOSS BD-2にミッドブーストをかける、またはIbanez TS9系)と、中域に粘りのある真空管アンプ(またはMarshall系アンプシミュレーター)を組み合わせるのが近道です。イコライザーでMiddleを「7〜8」、Trebleを「5〜6」、Bassを「5」程度に設定し、トーンノブをわずかに絞ることで松本特有の太い輪郭に近づきます。
Q2:キャナリーイエローとTak Matsumoto DCの音の違いは?
A2:キャナリーイエロー(シングルカッタウェイ)は伝統的なレスポールの構造を持ち、アタックが硬質でローミッドのパンチが強く、90年代後半のソリッドなロックサウンドに適しています。一方のDC(ダブルカッタウェイ)はハイフレットの演奏性が向上しているだけでなく、チェンバード(中空)加工や独自のボディ構造により、倍音豊かで滑らかなサステインとウォームなトーンが得られます。
Q3:ギブソンのシグネチャーモデルは現在でも新品で購入可能ですか?
A3:レギュラーラインでの常時生産は行われておらず、Custom Shopによる限定生産やアニバーサリー企画時に限定リリースされるのが通例です。そのため、過去の主要モデル(DCのフレイムトップやキャナリーイエロー初期型等)を入手する場合は主に中古市場や楽器専門店のプレミアムフロアを探すことになります。状態の良い個体はプレミア価格で取引されています。
まとめ:機材への飽くなき探求と唯一無二のプレイスタイルが生む芸術
松本孝弘のギターサウンドの魅力は、単に高級なヴィンテージギターや特注アンプを並べただけでは決して説明がつきません。自らの理想とするトーンのためにギブソン社とゼロからギターを共同開発し、現場の過酷な要求に応えるためFATチームと機材をミリ単位で追い込み続ける「飽くなきクラフトマンシップ」の結晶です。
そして何より、どれほど機材システムが進化しようとも、トーンの根底にあるのは彼の指先から放たれる圧倒的なダイナミクスと、日本人の琴線に触れる美しいメロディセンスに他なりません。時代とともに進化を続ける松本孝弘のギターサウンドは、これからも世界中のリスナーとギタリストを魅了し続けるはずです。 (出典: bz 松本孝弘 ギター(Yahoo!ニュース))