茨城県の地区分け全44市町村一覧!5地域の境界と鹿行の真相
関東地方で2番目に広い面積を誇る茨城県は、豊かな自然と最先端の研究都市、さらには日本有数の農業・工業地帯を併せ持つ多様性に満ちた地域です。しかし、県外の人はもちろん、県内に住む住民でさえ「自分の街がどの地区に属しているのか」「ニュースで耳にする地域名の正確な範囲はどこか」と戸惑うケースが少なくありません。
茨城県庁が公式に定める行政区分は「県北」「県央」「鹿行」「県南」「県西」の5つに分かれています。難読地名として全国的にも知られる「鹿行」の由来や、気象庁の天気予報における区分とのギャップ、さらには平成の大合併によって生まれた境界線のリアルまで、現地取材と公的データをもとに徹底解剖します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:茨城県の公式区分は「県北・県央・鹿行・県南・県西」の5地域・全44市町村で構成される。
- 要点2:全国的な初見殺し地名「鹿行(ろっこう)」は鹿島郡と行方郡の頭文字をとった歴史的合成地名。
- 要点3:天気予報は「北部・南部」の2区分であり、県西や鹿行が「南部」に包括されるなど行政区分とズレがある。
【一覧表で把握】茨城県の5地域区分と全44市町村の完全所属データ
茨城県内には現在、32市・10町・2村の計44市町村が存在します。県では行政運営や広域振興計画を円滑に進めるため、地理的特性や歴史的つながりを踏まえて県内を5つの広域圏に分割しています。
まずは、どの自治体がどのエリアに属しているのか、人口規模や産業特性とともに全体像を整理します。
| 地域区分 | 読み方 | 所属市町村(計44市町村) | 主な産業・地域特性 |
|---|---|---|---|
| 県北地域 | けんぽく | 日立市、常陸太田市、高萩市、北茨城市、常陸大宮市、那珂市、大子町(6市1町) | 日立製作所発祥の工業地帯と、袋田の滝や奥久慈などの山間部・自然景観が広がる観光・ものづくり拠点。 |
| 県央地域 | けんおう | 水戸市、笠間市、ひたちなか市、小美玉市、茨城町、大洗町、城里町、東海村(4市3町1村) | 県庁所在地の水戸市を中心とする行政・商業の中枢。原子力関連研究施設や大洗港、笠間焼など多彩な顔を持つ。 |
| 鹿行地域 | ろっこう | 鹿嶋市、潮来市、神栖市、行方市、鉾田市(5市) | 鹿島臨海工業地帯の重化学工業と、全国屈指の農業産出額を誇る鉾田市などの農業、水郷観光が融合。 |
| 県南地域 | けんなん | 土浦市、石岡市、龍ケ崎市、取手市、牛久市、つくば市、守谷市、かすみがうら市、稲敷市、つくばみらい市、美浦村、阿見町、河内町、利根町(10市3町1村) | 筑波研究学園都市とつくばエクスプレス(TX)沿線の発展、東京通勤圏としてのベッドタウン需要が極めて高い。 |
| 県西地域 | けんせい | 古河市、結城市、下妻市、常総市、筑西市、坂東市、桜川市、八千代町、五霞町、境町(7市3町) | 肥沃な平野部を活かした近郊農業と機械製造業が集積。埼玉・栃木・千葉に隣接し、独自の内陸経済圏を形成。 |
県の公式資料によると、県南地域が最も多くの市町村(14市町村)を抱えており、人口シェアでも県全体の約3分の1以上を占めています。一方、市町村合併の進展によって鹿行地域は町村が完全に消滅し、全域が「市」で構成される全国的にも珍しい広域圏となりました。

境界線はどこにある?県南・県西・県央が複雑に入り組む「分水嶺」の現場検証
地図上で境界線を追うと、なぜこの自治体がこの地区なのかと直感的に疑問を抱くポイントがいくつか存在します。その代表例が石岡市(県南)と小美玉市(県央)、そして桜川市(県西)と笠間市(県央)の境目です。
石岡市は古くは常陸国の国府が置かれた歴史的中心地であり、水戸(県央)寄りの風情も持ち合わせていますが、行政上は「県南地域」に組み込まれています。これは、土浦市を中心とする霞ヶ浦周辺の経済・生活圏との結びつきが強かった旧新治郡の枠組みが色濃く残っているためです。
対して、隣接する小美玉市は2006年に小川町・美野里町・玉里村が合併して誕生しました。玉里村は霞ヶ浦に面し県南的な要素が強かったものの、美野里町が水戸都市圏に属していた経緯から、新市全体として「県央地域」に区分される道を選びました。
また、桜川市は旧真壁郡真壁町・大和村・西茨城郡岩瀬町が合併した自治体です。西茨城郡だった岩瀬地区は笠間市や水戸市との交流が深かった一方、真壁・大和地区は筑西市(県西)との結びつきが圧倒的でした。合併議論の末、桜川市は「県西地域」に配属されることになり、これによって県央と県西の境界線は笠間市と桜川市の間に明確に引かれることになりました。
「鹿行」はなぜ「ろっこう」と読むのか?全国屈指の難読地域名と歴史のからくり
茨城県外の人々が100%と言っていいほど読み方に迷うのが鹿行(ろっこう)地域です。「しかいく?」「かぎょう?」と誤読されがちですが、この名称には地域の古代史と行政再編の歴史が凝縮されています。
結論から言うと、鹿行とはかつてこのエリアを占めていた「鹿島郡(かしまぐん)」の『鹿』と「行方郡(なめがたぐん)」の『行』を組み合わせた合成地名です。
どちらも訓読み(かしま・なめがた)すると長くなるため、漢字の音読みを採用して「鹿(ロク・ロッ)」+「行(コウ)」=「ろっこう」と呼ぶようになりました。この呼称は明治時代の郡制改革以降、地域内の広域行政や警察署・土木事務所の管轄名として定着したものです。
鹿行地域は東側を太平洋、西側を霞ヶ浦や北浦などの広大な水域に挟まれた半島状の地形をしています。かつては水運によって東京方面と直結していた歴史を持ち、現在も東国三社の一つである鹿島神宮、鹿島臨海工業地帯、Jリーグ鹿島アントラーズの本拠地として、県内の他地域とは一線を画す強いアイデンティティと結束力を誇っています。

天気予報と行政区分でズレる「南北の壁」|気象庁データとの違いを徹底解明
毎日の生活で多くの県民が違和感を覚えるのが、テレビやラジオで流れる「天気予報の地域区分」です。県庁の行政区分が「5地域」であるのに対し、水戸地方気象台が発表する気象警報・注意報や天気予報はまったく異なる基準で運用されています。
| 気象庁の一次細分区域 | 二次細分区域(詳細エリア) | 内包される県の行政地区 |
|---|---|---|
| 北部(ほくぶ) | 県北地域(山間部・平野部) | 日立市、常陸太田市、北茨城市、大子町など(行政の県北全域) |
| 県央地域 | 水戸市、ひたちなか市、笠間市、大洗町など(行政の県央全域) | |
| 南部(なんぶ) | 県南地域 | つくば市、土浦市、取手市、守谷市など(行政の県南全域) |
| 県西地域 | 古河市、筑西市、結城市、常総市など(行政の県西全域) | |
| 鹿行地域 | 鹿嶋市、神栖市、潮来市、鉾田市など(行政の鹿行全域) |
気象予報における茨城県は、基本的に「北部」と「南部」の2大区分に大別されます。ここで注意が必要なのは、県西地域と鹿行地域がすべて「南部」として処理される点です。
例えば、大雨警報や大雪注意報が「茨城県南部に発表」と報道された場合、県南地域だけでなく古河市などの県西や鹿嶋市などの鹿行もその対象に含まれます。気象のメカニズム上、筑波山系や阿武隈高地による地形的気流の変化が南北で大きく分かれるため、防災実務上はこの2区分が合理的とされているのです。
【実態検証】住民の生活圏と行政区分のギャップ|経済圏・交通網から見る茨城の深層
行政が定めた5つの枠組みは、住民の実際の生活実感や移動動線と必ずしも一致していません。鉄道網と道路網の発達により、茨城県内には「県庁所在地・水戸」の引力圏から完全に独立した経済圏が複数形成されています。
顕著なのが県西地域、特に古河市や五霞町の実情です。古河市はJR宇都宮線(東北本線)が通り、上野東京ラインや湘南新宿ラインで大宮・東京・新宿・横浜方面へ乗り換えなしで直結しています。五霞町に至っては茨城県内で唯一、利根川の南側に位置し、生活インフラや経済圏はほぼ埼玉県幸手市や久喜市と一体化しています。
現地住民のコミュニティでも「県庁に行くより大宮や池袋に行く方が圧倒的に早い」「茨城県民という意識はあるが、日常の買い物や通勤は埼玉・東京頼み」といった声が日常的に聞かれます。
同様に、つくばエクスプレス(TX)の開業以降、つくば市や守谷市を中心とする県南エリアは「東京圏のフロンティア」としての性格を急速に強めました。高所得者層や研究者、都心通勤世帯が大量に流入した結果、水戸を中心とする県央・県北エリアとは住民属性や消費動向において大きな構造的差異が生じています。
【プロの結論】地域社会学から読み解く茨城の多様性と居住・ビジネスの最適エリア
地域社会学の知見に基づくと、茨城県は単一の中心都市に依存する「一極集中型」ではなく、複数の拠点都市がそれぞれの磁場を持つ「多核分散型」の構造を持っています。
行政の5区分はこの多核構造を管理するために不可欠なフレームワークですが、移住・住宅購入やビジネス拠点の選定においては、行政区分名に惑わされず「実質的な生活・物流軸」を見極めることが成功の分かれ道となります。
【エリア選択の判断基準】
- 県南・県西南部(つくば・守谷・取手・古河):都心通勤を前提とする子育て世帯や、首都圏市場をターゲットとする事業者に最適。地価は高めだが資産性と生活利便性は圧倒的。
- 県央(水戸・ひたちなか・笠間):県内完結型の安定した生活基盤を求める人向け。行政・医療・商業インフラが成熟しており、車社会を前提とした暮らしやすさは県内随一。
- 県北・鹿行(日立・大子・鹿嶋・鉾田):豊かな自然環境、農業・漁業・製造業に直結したビジネス、あるいはマリンスポーツやアウトドアを中心としたライフスタイルを重視する人に強く推奨される。

【茨城県 地区分け】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:茨城県の「鹿行」はどうして「ろっこう」と読むのですか?
A1:かつてこの地域にあった「鹿島郡(かしまぐん)」と「行方郡(なめがたぐん)」の頭文字を1文字ずつ取り、音読みした合成地名であるためです。明治期以降の広域行政の管轄名として定着しました。
Q2:天気予報で「茨城県南部」と言われた場合、どこの市町村が含まれますか?
A2:気象庁の区分における「茨城県南部」には、県南地域(つくば市・土浦市など)だけでなく、県西地域(筑西市・古河市など)および鹿行地域(鹿嶋市・神栖市など)の全域が含まれます。
Q3:古河市や五霞町はなぜ「県西」なのに埼玉や東京との結びつきが強いのですか?
A3:地理的に埼玉・栃木・千葉の県境に位置し、JR宇都宮線や国道4号・新4号バイパス、圏央道など都心・北関東を結ぶ大動脈が発達しているためです。水戸市方面よりも大宮・都心方面へのアクセス性が高いため、独自の経済圏を形成しています。
Q4:茨城県の県庁所在地である水戸市は何地域に属しますか?
A4:水戸市は「県央地域」に属します。県央地域には水戸市のほか、笠間市、ひたちなか市、小美玉市、東茨城郡(茨城町・大洗町・城里町)、那珂郡東海村が含まれます。
まとめ:5つの個性を理解して茨城県の魅力とリアルを掴む
茨城県の地区分け(県北・県央・鹿行・県南・県西)は、単なる行政上の境界線にとどまらず、それぞれの地域が歩んできた歴史、地形、そして交通インフラの進化を如実に反映しています。
日立のものづくり精神が息づく「県北」、行政と文化の中枢である「県央」、海と大地とスポーツが融合した「鹿行」、TX沿線を中心に劇的な都市化を遂げる「県南」、そして関東の中央部で強固な産業基盤を築く「県西」。全44市町村の特性と境界の真相を正しく把握することで、ニュースの背景や観光・移住・ビジネスのポテンシャルがより鮮明に見えてくるはずです。 (出典: 茨城県 地区分け(Yahoo!ニュース))